最終話だ。ここまで読んでくれてありがとう。
10話で君が手に入れたもの
振り返ってみよう。
第1話 — ビールは苦味・甘味・香りの三角形でできている。 第2話 — ホップのルプリンが苦味と香りの鍵を握っている。 第3話 — エールとラガーという2つの大きな世界がある。 第4話 — IPAには200年以上の歴史があり、アメリカで生まれ変わった。 第5話 — グラスの形で香りの届き方が変わる。 第6話 — 温度は無料の調味料。スタイルごとに適温がある。 第7話 — シトラス、トロピカル、フローラル。ホップの香りには語彙がある。 第8話 — 三度注ぎで缶ビールが別物になる。 第9話 — 合わせる・対比する・洗い流す。ペアリングの3原則。
もう「とりあえず生で」とは言わないだろ?
クラフトビール屋の歩き方
次のステップは簡単だ。近所のクラフトビール専門店に行ってみること。
初めてのクラフトビール屋で困らないためのコツを教えておく。
タップリストの読み方: たいてい黒板やメニューに、ビール名・スタイル・ABV(アルコール度数)・IBU(苦味の数値)が書いてある。IBUが低い(20以下)ものは穏やか、高い(50以上)ものはホッピーだ。
テイスティングサイズ: 多くの店で少量の試し飲み(60〜150ml)ができる。いきなりパイント(約470ml)を頼まなくてもいい。3種類くらい飲み比べると、自分の好みが見えてくる。
店員に聞く: 「ホップの香りが強いやつください」「フルーティーなやつありますか」「苦くないのがいいです」——こういう伝え方で全然OK。良い店の店員は、君の好みに合う一杯を必ず見つけてくれる。
自宅で楽しむなら
外に出るのが面倒な日は、コンビニやスーパーでも冒険できる。
入門におすすめの銘柄:
- よなよなエール(ヤッホーブルーイング)— カスケードホップのアメリカンペールエール
- インドの青鬼(ヤッホーブルーイング)— 本格派のIPA。苦味が効いている
- 銀河高原ビール ヴァイツェン — バナナとクローブの小麦ビール
- 常陸野ネストビール ホワイトエール — コリアンダーとオレンジピールのベルジャンスタイル
まずは1本、普段と違うスタイルを選んでみよう。第5話のグラスに注ぎ、第6話の適温まで待ち、第7話の語彙で香りを言葉にしてみる。10話で学んだことを全部使って飲む一杯は、きっと今までとは違う味がするはずだ。
ビールの世界は広い
世界には100以上のビアスタイルがあり、数千のブルワリーがそれぞれの哲学でビールを作っている。日本だけでも600以上のクラフトブルワリーが活動中だ。
君はもうその入口に立っている。ここからは、一杯ずつ自分の地図を広げていく旅だ。
今夜の一杯が、昨日より美味しくなっていたら嬉しい。乾杯。