ホップ用語集

26語。品種を比べるときに出てくる言葉を、短い定義と、詳しいページへの入口だけにまとめています。

ホップそのもの

ホップHop / Humulus lupulus

ビールに苦味と香りを与えるアサ科のつる性多年草。醸造に使うのは雌株につく「毬花」で、その内側のルプリンに苦味と香りの成分が入っている。苦味と香りのほかに、雑菌の繁殖を抑えて泡もちを良くする働きもある。

毬花まりはな / きゅうかHop cone

ホップの雌株につく、松かさに似た形の花穂。収穫してすぐ乾燥させ、ペレットなどに加工して醸造に使う。当サイトの名前もここから取っている。

ルプリンLupulin

毬花の内側にある黄色い粒状の樹脂腺。アルファ酸などの苦味成分と、香りのもとになる精油はほぼすべてここに含まれる。ホップを割ったときに見える黄色い粉がこれにあたる。

バインBine

ホップのつるを指す言葉。巻きひげで絡むのではなく、茎そのものが支柱に巻きついて伸びるため、ぶどうなどの vine と区別して bine と呼ぶ。栽培では数メートルの高さまで誘引する。

収穫時期Harvest season

ホップの収穫は年に1回。北半球はおおむね8〜9月、南半球は2〜3月にあたる。乾燥させずに使う「生ホップ(フレッシュホップ)」のビールが収穫地の近くでだけ、しかも数週間しか出回らないのはこのため。

成分と香り

アルファ酸Alpha acid

苦味のもとになる樹脂成分。そのままでは水に溶けにくいが、麦汁で煮沸すると異性化してイソアルファ酸に変わり、溶けて苦味になる。品種ごとの含有量は重量%で表され、当サイトの品種ページにも同じ表記で載せている。

ベータ酸Beta acid

アルファ酸と並ぶ樹脂成分。煮沸では苦味になりにくく、時間をかけて酸化することで苦味に関わる。抗菌性にも寄与する。

コフムロンCohumulone

アルファ酸を構成する成分のひとつで、全体に占める割合が品種ごとに違う。割合が低いほど苦味が滑らかになるとされ、品種の性格を語るときによく引き合いに出される。

IBUInternational Bitterness Units

ビールの苦味を表す単位。主にイソアルファ酸の濃度に対応し、数値が大きいほど測定上の苦味が強い。ただし麦芽の甘みや炭酸で感じ方は変わるので、同じ IBU でも飲んだ印象は揃わない。

テルペンTerpene

ホップの精油に含まれる香気成分の総称。ミルセン、フムレン、カリオフィレン、リナロールなどがあり、その構成比が品種ごとの香りの違いをつくる。

ミルセンMyrcene

ホップの精油でもっとも量が多いことが多いテルペン。柑橘や松、樹脂を思わせる香りに関わり、アメリカ系の品種で比率が高い傾向がある。揮発しやすいため、香りを残したいときは加えるタイミングが遅くなる。

フムレンHumulene

木質的でスパイシーな印象に関わるテルペン。ヨーロッパの伝統的な品種で比率が高いことが多く、ノーブルホップらしい落ち着いた香りの背景にある。

カリオフィレンCaryophyllene

胡椒のようなスパイス感に関わるテルペン。フムレンと並んで、欧州系のホップでよく語られる。

リナロールLinalool

花や柑橘を思わせる香りの成分。含有量そのものは多くないが、香りの印象への寄与が大きいとされ、ホップアロマの指標として扱われることがある。

ダンクDank

樹脂的で青々とした、大麻を連想させる強い香りを指す言い方。ホップと大麻は同じアサ科の植物で、香りの成分に共通するものがあるためこう表現される。

醸造での使い方

ビタリングホップBittering hop

苦味を出す目的で、煮沸の早い段階に加えるホップ。長く煮るほどアルファ酸の異性化が進んで苦味が出る一方、香りは飛ぶ。アルファ酸の高い品種が選ばれやすい。

アロマホップAroma hop

香りを付ける目的で、煮沸の終わり近くや発酵後に加えるホップ。香り成分を飛ばさないよう、熱にさらす時間を短くして使う。

デュアルパーパスホップDual-purpose hop

苦味づけにも香りづけにも使える品種。アルファ酸がそれなりに高く、香りにも特徴があるものが該当する。

ドライホッピングDry hopping

煮沸せず、発酵中または発酵後の低い温度でホップを加える手法。アルファ酸が異性化しないので苦味はほとんど増えず、香りだけを移せる。IPA やヘイジー系の香りはこの工程に負うところが大きい。

T90ペレットType 90 pellet

乾燥した毬花を粉砕し、圧縮して粒状にしたもの。もっとも一般的なホップの形で、加工の過程で価値の低い植物片が約1割取り除かれるため、元の重量のおよそ90%が残る。これが「90」の意味。

ホールホップWhole hop / Leaf hop

毬花を乾燥させただけで、粉砕も圧縮もしていないホップ。かさばり、麦汁を吸う量も多いが、ペレットにしない分の質感を評価して使う醸造家もいる。

ウールプール投入Whirlpool addition

煮沸を終えて少し温度を落とした麦汁にホップを加える工程。煮沸中より香りが残りやすく、ドライホッピングほど低温でもないため、その中間の性格の香りが出る。

分類と産地

ノーブルホップNoble hops

ヨーロッパの伝統的な4品種、ザーツ・ハラタウミッテルフリュー・テトナング・シュパルトを指す呼び方。アルファ酸が低く、香りは穏やかでスパイシー寄り。ピルスナーをはじめとするラガーの性格をつくってきた。

テロワールTerroir

同じ品種でも、栽培される土地の気候や土壌によって成分と香りが変わること。ホップでは産地表記が品種名と並んで意味を持つ場面がある。

日本のホップJapanese hops

日本で育成・栽培されている品種。ソラチエース、IBUKI、信州早生、murakami seven などがあり、ソラチエースは日本で生まれたのち海外で評価されて逆輸入的に広まった経緯を持つ。

代替品種Hop substitution

入手できない品種の代わりに、香りとアルファ酸が近いものを使うこと。当サイトの品種ページと比較ページは、この置き換えを考えるために作っている。